引き継がれていくサヴィル・ロウ(CNBC記事)

Dan Kitwood | Getty Images

















米国のニュースサイトCNBCで、ヘンリープールに取材したページが公開されました。

現在のヘンリープールがどのようにテーラリングビジネスを展開しているかという話を、アレックスが語ります。また、7世代に渡るファミリービジネスについては、現当主の6代目アンガス、7代目サイモンが答えています。

取材の最後で、8代目について語るサイモンにご注目ください。8代目とは、サイモンの息子、16歳のヘンリー、15歳のジェイミーを意味します。

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〜〜〜〜全文抄訳〜〜〜〜

スーツを買うならサヴィル・ロウで、と考えているファッショニスタにとって、ロンドンの中でも先端を行くショップが多く建ち並ぶ一角、メイフェア地区は、まさにビスポークテーラリングの中心地であるとの認識でしょう。

サヴィル・ロウ15番地に位置するヘンリープールは、200年以上にもわたってスーツを作り続けてきたテーラーです。それは、ジェームズ・プールがブルームズバリーに開店した1806年までさかのぼります。

ジェームズの死後、息子のヘンリーが店を継ぎ、1876年にヘンリーの従兄弟であるサミュエル・カンディがヘンリープールを引き継ぎました。そして、カンディ家がその後のビジネスを現在に継続させてきたのです。

『世界中の国に、数々の偉大なテーラーがありました。しかし、ひとつの場所に集まっていたというケースは、ここサヴィル・ロウだけなのです』
現在のヘンリープールでマネージング・ダイレクターを勤めるサイモン・カンディは語ります。

『プールがサヴィル・ロウに店を開いたのは、実質的には1846年です』

サイモン・カンディは、ヘンリープール7代目としてこのビジネスを真摯に受け止め、テーラリングを芸術の領域に高めようと努力しています。
採寸、生地の裁断、仕上げなど、テーラリングのプロセスは多岐に渡りますが、全てはヘンリープールのスタッフによって丁寧に進められます。
それらのテーラリング技術で生み出されたスーツに袖を通してきた顧客には、チャールズ・ディケンズ、ウィンストン・チャーチル、シャルル・ドゴールなども含まれています。

『顧客にとって、仮縫い時に着用する体験が、とても大切なのです』
ヘッドカッターのアレックス・クックは言います。
『幸いにも、階下には縫製職人が常勤しています。来店した顧客が袖を少し短くしてほしいなどの希望が出ても、すぐに職人と会って直接話をする事も出来ます。そういう特別な体験が出来ることも、ヘンリープールでは大切にしています』

現在、ヘンリープールのビジネスは、会長であり、父でもあるアンガスから引き継いだサイモンが牽引しています。

アンガスにとって、息子のサイモンのヘンリープールビジネス参加は、自然な流れでした。
『私にとって喜ばしいことですが、サイモンは14歳の時には、もうこのビジネスへの関心を持ってました』
アンガスは言います。
『ビジネスをしっかり引き継いで行こうと心から願って、実践していくことが大切です。サイモンにはそう伝えています』

『サイモンは、仕事を通じて成長してきました。それはとても大きな意味があると思います』
副会長のフィリップ・パーカーは言います。

最近では、アンガスがヘンリープールのショップに顔を出すことは少なくなりましたが、週に一度は顔を出すようにしています。

現在、ヘンリープールはビジネスのフィールドを広げ、世界のマーケットで活動しています。
『常に新しい市場、新しい都市でビスポークを出来るチャンスを探しています』
サイモンは言います。

そんな継続の歴史のなかで、サイモンはふたりの男の子の父親です。16歳のヘンリー、そして15歳のジェイミー。
ただ、サイモンは彼ら兄弟を8代目と考えるにはまだ早すぎると思っているようです。もちろん、もしも彼ら兄弟が父の仕事に参加したいと思う時が来れば、サイモンは情熱をもってその準備をするでしょう。

サイモンはこう言います。
『息子たちについては、こう思っています。まずはビジネススクールで学んでほしい。企業で働くスキル、財務や法務の知識、企業がいかにして成り立っているかというような経験を体験から身につける。それがまず大切です』


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