ヘンリープール・ビスポークトランクショー
フィリップ・パーカー インタビュー
(2008年10月、2010年10月)
2008年10月19日と20日、ホテルオークラ東京にて英国ヘンリープール社による来日受注会、
ビスポーク・トランクショーが開催されました。
それにあわせて来日していたヘンリープール社取締役のシニアカッター、
フィリップ・パーカーにヘンリープールにおけるビスポークスーツのお話を伺いました。
⸺ヘンリープール社で何を担当しているか、教えてください。
シニアカッターという立場にいますが、マネージメントについては、取締役として6代目社長のアンガス・カンディと共に経営面にも携わっています。テーラリングの業務ではカッターとしてお客さまの応対、採寸から仮縫いまでを主にやっております。
さらに、カッターだけではなく、階下にワークルームがあるのですが、そこにいる職人達との業務の橋渡しや、海外事業のことも含め、全体的な事業統括を行っております。
⸺パーカーさんが日本にいらっしゃる時は英国はお留守になりますね(笑)?
いえいえ(笑)、私の留守中にはシニアカッターが2名、その下には更にカッターが2名常駐していますので、お客さまの対応や業務を全て代行出来るようになっています。ご安心ください。
⸺さて、200年以上に渡って、歴史に名を残す偉大な人物がヘンリープールで服を誂えてきています。なぜヘンリープールが選ばれるのでしょうか。
英国において、ヘンリープールの創業が一番古いというわけではありません。しかし、サヴィル・ロウでは一番最初に開業したテーラーとして、確固たる個性がございます。40を超える各国のロイヤルワラントが証明しているように、ランドマークではありませんが、誰もがサヴィル・ロウに来た時、サヴィル・ロウらしい服を求める時に目指す対象であるというようなことが、それまでの歴史を物語るものではあると思います。多くの人が、ヘンリープールがサヴィル・ロウで頂点にあるテーラーだと深く理解しているということが大きな理由です。最大では300人以上のテーラーと14人のカッターをかかえるほどのスケールだったこともあり、そういうことが、歴史的に様々な信頼を築く礎になっています。
⸺ビスポーク・プロセスに於いて、大切だと思うポイントを教えてください。
スタイルの面からいうと、ショルダーのかたち、スリーブがどういった付け方であるかとか、きつすぎず、ゆったりすぎることもない、最適な快適性、背中の部分での小手仕事、きちんと余裕をもって腕などが動かしやすくなっているかどうか、ボタンホールやフラワーホール、そういったディティールも含めて、サヴィル・ロウのスタイルがどういうものなのか具現化することが大切です。どこから見てもサヴィル・ロウで作られて、なおかつヘンリープールで作られたものであると表現されているのが一番望ましいことです。
⸺英国ヘンリープール社のウェブページには日本人顧客に向けてこう書かれています。
This will provide a forum for us to meet our existing clients for
fittings whilst, for new clients, an opportunity to
introduce them to the Henry Poole brand, our heritage of
over 200 years and the individual bespoke process
that is synonymous with the Henry Poole ethos.
『Henry Poole ethos(ヘンリープール・イーソス)』とは、何を意味するのでしょうか。
理念を違う言葉に置き換えると、何を信じて業務を行っているか、ということです。全体的にバランスがとれた服であり、よくフィットした上で快適である、それがサヴィル・ロウスタイルを具現化したものであるということです。ショルダー、ジャケットとのバランス、シェイプ、すべてがきれいなバランスをとっていること。何を信じてものづくりをしているかにつながります。
実際の運営面に関しては、顧客との関わりを非常に重要視しています。顧客とずっといい関係を続けていくことがビジネスの発展、さらなるオーダーにつながると考えています。
アンガス・カンディがよく言っているのですが、「顧客は単なる顧客ではない」という言葉を肝に銘じて、より一歩進んだ関係を作っていくということを信念としています。
⸺1回目、2回目、3回目、というように、繰り返しのオーダーで築き上げていくものなんですね?
それは全てにおいて段階というものがあることと同じですね。女性と仲良くなっていく時と同じようなものです(笑)。
⸺サヴィル・ロウスタイルについてですが、よく聞く『イングリッシュ・ドレープライン』とは、サヴィル・ロウスタイルのことでしょうか?
イングリッシュ・ドレープラインという言葉は、英国では使いません。それはむしろ、英国以外の国々で、人々がサヴィル・ロウのスーツを語るときに使われてきた言葉だと思いますが、ドレープはとても大切なことで、フィッティングの際にお客さまにご案内しています。
全体的に細いフラットな服は世に溢れていますが、主に言われているドレープスタイルはサヴィル・ロウスタイルの根幹を為すものの一つ、重要な特徴の一つであると認識しております。サヴィル・ロウスタイルをご存じない方や、初めてサヴィル・ロウに来られる方に、自然にそのスタイルを知っていただき、総合的なサヴィル・ロウスタイルとして理解していただくことに努めています。
⸺ずっと既製服だけを着てきた男性が初めてヘンリープールでビスポークスーツを誂えるとき、何に注意していますか?
最初のご来店がお若い方の場合、ある程度スタイルというものにご自身の考えを持たれている方とそうでない方がいらっしゃいます。例えば、ヘンリープールでオーダーしていただく場合は、イタリアンスタイルをお好みの方にその通りにお作りするということはまずありません。ヘンリープールにはポジションがあり、その背景には文化があります。
もちろん、お客さまが社会のなかでどういう生活をされているかということも重要ですが、基本的なこととして、ヘンリープールがご提供しているものを、接客という過程を通じてにお客さまに伝えていくことをいつも行っています。
飛び込みで来られる方よりは、ご友人、ご家族のご紹介で来店いただいた方のほうが、ヘンリープールとそのビスポークスーツに関してより深い理解をしめしていただけることが多いですが、段階を踏んで、ご理解を頂けるような接客を行っています。
ただ、ビスポークですから、お客さまのご意志を尊重する必要はあります。お話をする上でお客さまの好みをを迅速に見分けるように心がけています。
それから、ベーシックとはこういうものであるとお客さまにご提示すると同時に、お客さま一人一人の好みを考慮して、ディティール面でもお客さまの好みに合わせるようにしています。
一番重要なことは、可能な限りお客さまのご要望にお応えするということです。それは決して忘れてはおりません。
⸺サヴィル・ロウのスーツは世界から憧れで見られていますね。サヴィル・ロウで誂えたスーツを着ると、自信がみなぎり、外見上でも良く見えると聞きます。いったいどんな魔法が掛けられているんですか?
(笑)そうですね…。私は、出張やミーティングで、レストランなど多くの場所に出席したり、様々な機会で色々な服を目にする場合が多いです。ヘンリープールのスーツやジャケットのみではなく、ネクタイやシューズといった全体のスタイリングを含めて、ビスポークという性質上、まずサヴィル・ロウのスーツはどこに着ていっても恥ずかしくないものであるという点が大きな自信を生み出してます。
単なる服ではなく、ストーリーがそこに存在するということです。服を作ったというだけではなく、どういう時にどんな状況で、どういうディティールのものを、どんな話をしながら作った、という自分だけのストーリー。服にまつわる背景や思い出などを、一緒にまとうことになるのです。そういう点がサヴィル・ロウのビスポークスーツの世界なのです。
ある時、私は妻と買い物をしていました。先ほど例に出されたようなお若い方が私のコートを見て賞賛してくださいました。私はすかさず名刺を出しましたが、それを見た彼がビックリして、素晴らしいコートは当然ですね、と(笑)。そんなこともあるように、ビジネスにおいて身なりは大変重要視されているものです。ちょっとした出来事によって話のきっかけにもなり、会話を広げることになったりするのです。
⸺日本でのトランクショーはいかがでしたか?
日本での滞在は今回で2回目になりますが、日本にいることがとても楽しいです。それは、お会いした方やいろいろな事柄がそういう気持ちにさせてくれるのでしょうね。まず言えることは皆さんがとても親切であるということです。しかも礼節を重んじ、礼儀正しい。そういう面からも非常に大好きな国の一つです。今後もぜひ良好な関係を築いていきたいと思っております。
2008年10月20日 東京にて
※肩書きは2008年時点です。
2010年10月23日、来日中のフィリップ・パーカーにお話を伺いました。
2008年に続いて2回目のインタビュー。今回は、より詳細なお話をお聞きできました。
日本でのトランクショーについて
日本では年に2回、ホテルーオークラの特設ルームで本場サヴィル・ロウとまったく同じビスポークを実施しています。初めてトランクショーにいらっしゃるお客さまへのアドバイスをお聞きしました。
⸺初めてのトランクショーでは、お客さまはどういう準備をすればよろしいですか?
初めてのお客さまのほとんどは、実はヘンリープールのスタイルをご存じなんです。ヘンリープールがどういうテーラーか、サヴィル・ロウとはどういう場所かとご理解の上、ヘンリープールの仕事を素晴らしいと思ってくださった上で来てくださるお客さまが多いのです。
そういうことなので、特定のイメージを持って来られなくてもかまいません。例えばスーツの場合であればシルエットはこういうものですよと私からご説明させていただきます。
細部にわたって、たとえば襟やカフスをこうしてくださいなどのリクエストにはもちろんその都度お応え出来るのですが、ベーシックなものはサヴィル・ロウのシルエットをお見せすることに尽きるので、私がご提案し、お客さまが同意された上で進めていっております。
もちろんビスポークなのでお客さまからのご注文にはなんなりとお応えしますが、基本はヘンリープールのシルエットを気に入ってくださっているということを前提としてお話をしています。
初めてトランクショーにいらっしゃる時の服装ですが、何を着てくださってもけっこうです。それでも、やはりシャツと靴は必要です。ご希望がスーツなら、普段スーツを着るときに身につけるシャツと靴、靴は出来れば革靴が望ましいです。そこだけは気を付けていただければと思います。
Tシャツでランニング途中にいらっしゃっても大丈夫ですが、シャツは持ってきてください、と申し上げています(笑)
⸺最初にお話を始める時の順序を教えてください。
まず春夏もの・秋冬もの、スーツかスポーツジャケットかをお聞きし、そのあと生地を選んでいただきます。次にすぐ採寸します。また、サヴィル・ロウで服を仕立てたことがあるかどうかをお伺いします。
⸺それはヘンリープールにかかわらず、ということですか?
はい。ヘンリープールに限らず、サヴィル・ロウでつくったことがあるかどうかで、英国のビスポークがなんたるものかをご存じかどうか分かります。そこでご存じないという方だったら、ショルダーのフィロソフィーや、胸に使う素材のご説明、ドレープが生まれる仕組みなど、詳しくご説明しながら採寸します。
過去にサヴィル・ロウで作ったことがあるという場合、そういうご説明は省き、細かいディティールに移って最後にスタイルを決めていきます。
⸺お客さまの生活習慣によって対処を変えますか?
たとえば体重の変化という面ですと、極端なことはないと仮定してですが、だいたい2~2.5インチのゆとりを持たせてあるので、太っても痩せても修復は出来ますし、そこはご安心下さいとお伝えします。
もし、ものすごく体重の変化があるとおっしゃる、あるいは痩せるつもりがある、などの場合は、最初におっしゃっていただきたいと思います。たとえおっしゃっていただかなくても、余裕を持たせて修理することを前提に作ってあるので、対応していくことは十分に可能であると思っていただきたいです。
それから、日常的に座りっぱなしが多いお客さまには、トラウザースに余裕を持たせた方がいいかなという風に考えます。トラウザースの太さがシルエット的にタイトであるかどうか、ということよりも、快適であることが大事なのです。タイトにするんじゃなくてフィットさせること、という部分で気を付けて作っています。
面白いことに、若いお客さまは多少自分の中でフィットしていなくても、タイトすぎるかもしれなくても、そこはあまり気にされないんですが、やはりお年をめしていって長く着ると、自分が十年前に買ったものを次の十年で着る時に、タイトであることがすごく気になってくるようです。
作る時には、タイトなものよりフィットするものを作るように心がけています。歩くことにも座ることにも快適に感じられるようにフィットさせるのが私たちの仕事です。
⸺お手入れについてどのようなお話をされますか?
まずお伝えることは、頻繁にクリーニングには出さないでください、ということです。クリーニングに出すことで生地が傷んでしまいます。これだけの高価な服を、まさか毎日着ないでしょうし、いくつかのワードローブの一つとして週に何回とか月に何回とかいう形で着て行かれると思うので。
何かこぼしてしまったとかでクリーニングに出す以外は、年に1回ぐらいでいいと思います。その場合、出来るだけ良いクリーニング屋さんを見つけてください。
しわがよったら布をあてた上でプレスをする、蒸気をかけるといったことで普段は済ませていただきたいです。
何かあった、生地にダメージが出来たとかいう時、慌てて洗剤でこするとかご自分の判断で何かをやってしまうとダメージを広げるだけなので、是非ロンドンのヘンリープールにお戻しください。なんとかして修理しますので。
英国本店でのビスポークビジネス
パーカーさんは、通常はサヴィル・ロウ本店のシニアカッターとして、またマネージングダイレクターとして活躍されています。ビスポークをビジネス面からとらえた興味深いお話をお聞きできました。
ヘンリープールは100%ビスポークです。そして、ヘンリープールとそれ以外のテーラーと、どちらが秀でているという考え方はしません。どちらがお客さまにとって快適であるのかその判断はお客さまにゆだねるしかないので、私たちはその時々のザ・ベストを尽くすだけです。
日本に来る前に本店のスタッフに伝えてきたことは、とにかく日本に送るものに関しては細部にわたったところの完璧さを求めるように、と。ボタンホールであるとか仕上げの部分を日本の顧客がすごく注目しているところを私は注意しているので、完璧な状態で送る指示をしています。
ヘンリープールのスタイリングには自信を持っています。でも日本の技術に負けないようなフィニッシングをして手渡しすることはすごく大事にしています。
アメリカ人のお客さまに言われたのですが、あなたの売り方はすごく好きだ、と。ポイントはネガティブセーリングらしいですね。積極的に売らない、ということです。これだけの品物なので欲しい人は必ず買うし、いらない人は買わない。ただ、悩んでいる人にはアドバイスをスッとする。決してお客さまの後に付いたり、無理にすすめたりしないと。
いつも来ていただいている方でどちらか迷われていたら、両方おすすめしますが、初めてのお客さまには基本的にネガティブセーリングをします。接客ですから、低姿勢できちんとした対応は必要ですが、この人買わないなと思ったら、そこはスッと引いてあげるんです。そうしたらいったん店を出ますが、また戻ってこられます。
接客とは結局のところ経験値なのでうまく説明しにくいですが、私が培ってきた経験値でお客さまの心をつかめたかどうかは分かります。つかんでいる、お互い意志の疎通が出来ているなと分かったらその人は買うし、出来ていない人は買わないということですね。そこの経験値が大事です。
私が一番困るお客さまは、例えばギーブス・アンド・ホークスのスーツを着てきて、「このスーツ、ギーブス・アンド・ホークスのなんだけど、どう思う?」と答えを強要される方。私は他社の製品の批判は絶対にしないのです。常に他社のものと比較してよりよいものを作ろうとするけれど、あれが悪いこれが悪いという批判は絶対にしません。ただ、年配の方の意見を求められるお客さまもいらっしゃるし、若い方のアドバイスを求められる方もいらっしゃるので一概には言えませんが。
とにかくお客さまが何を求めていらっしゃるかを察知して、優しく丁寧に接すると言うことです。最後に大事なのは、奥様とか彼女、秘書の方、女性を連れてこられた場合には基本、女性に気に入られるようにすること、そうするのが勝因です。
もし自分が不在の時に顧客が来られた場合、もちろん他の者が担当に付くわけで担当がいないんだったらいいわ、ということにならないようにちゃんとケアするのですが、その後のフォローが大切です。
必ず自分の顧客を他の人に任せきりにしないことです。それは、自分の顧客だから他の人にさわらせないという意味ではなくて、自分が最後までその顧客と関わること、それでお客さまご自身が、自分が大事にされているかが伝わるので、まずそういう風にすることが大事だと思っております。気持ちの上のゲームですね。
フィッティングについて
トランクショーでは、フィッティング(仮縫い)を2回実施しています。仮縫いの精度が着心地やスタイリングに大きな影響を与えています。フィッティングはカッターの仕事の中でもとりわけ重要です。パーカーさんにフィッティングのお話を伺いました。
1回目のフィッティングの時に詳細を決めて、シェイプを決めて、2回目のフィッティングの最終段階で仕上げに入ります。万がいち、お客さまからクレームがありそうだなと予測出来る場合は、後ろは縫いつけ合わせないでおいて余裕を持たせた仕上がりにしておいて、後からばらすことも可能にしておきます。
フィッティングでは、全体のバランスを見ます。美的な部分だけ見ていても分かりませんので、全体を見ることです。まず首まわり、肩、という風に下がっていきます。途中でお客さまからお話があったり、お連れの女性が茶々をいれたりして、言ってることが分からなくなったら、必ず首に戻るということが大切です。チェックし忘れることがあるので必ず首に戻るんです。
例えば前屈みのお客さまだったら、ジャケットを少し後ろにした形に仕上げないといけないし、逆ならまたそのように。日本人のお客さまのほうが英国人より体を後ろに倒した形でまっすぐに立たれる方が多いそうですね。その場合だと少し前に落とす形になります。ただし、それには注意が必要です。もし背中が反っている為に前に落とす場合は、アームホールを広げなくてはいけなくなるんですが、それはシェイプを変えてしまうので絶対に注意しないといけない。それをしないような形でどう落とすか。その解決方法は前を長くするのではなくて、後ろを少し背中の部分を生地をつまんだ形にし、後ろを短くすることで前を長くするという方法でアームホールを今のままの状態で保てます。
生地がチェック柄じゃない場合は自由自在に出来るんですけど、もしチェック柄だと横の柄を合わせているので、どこで調節するかというと、肩の部分になります。背中ですが、ドレープが出ることでウエストにきれいなシェイプを与えます。前身頃のドレープがキレイであるかチェックして、シェイプを深くする場合もあります。
胸板のところにカンバスを内蔵しています。これでドレープが生まれています。ヘンリープールを着たことがない方は違和感というか、これは何?という風に考えられると思うんですけれど。これがないとものすごく胸板がフラットになってしまいます。ここのストラクチャーはヘンリープールらしさとして入っているものです。
ドレープには2つの理由があります。1つ目はここの中にストラクチャーが入ることでウエストのシェイプとか全体のドレープがきれいに出ます。2つ目はお財布などを入れた時にも、お財布が入っていることが見た目に分からないぐらいのカンバスになってます。
フィッティングの際、テーラー(縫う担当のスタッフ)とのやりとりにミスがないように準備することが大切です。
最初のフィッティングの時に、腕を自然に垂らした時の線をボディに付けておきます。テーラーが分かるようにしておくのです。お客さまの体型によって様々ですから、最初のフィッティングの時に気を付けて定位置をきちんと定めてあげます。
丈の長さが長いか短いか、どうしても近くから見ると上から下をみてしまうので、少し距離をあけたところからバランスをみることが大切です。
フィッティングで大事なのは、何か問題があった場合、それはパターンのカッティングの問題なのか、フィッティングの時に見落とした点なのか、それともカッターの指示通りにテーラリングがされてないというところが問題なのか、という見極めです。2回目のフィッティングでその問題点を見極めなくてはいけません。そういう意味でもテーラリングの知識がないときちんとしたフィッティングは出来ません。
2010年10月23日 東京にて
※肩書きは2010年時点です。